中田慎介氏がモデルにアンライクリーのベージュのアノラックを着せつけているところ中田慎介氏がモデルにアンライクリーのベージュのアノラックを着せつけているところ

Unlikely
The Technique of Layering

レイヤリングで発揮する
Unlikelyの真価

アメリカン・カルチャーに軸足を置きつつ、そこに独自のツイストを加えることで "ありそうでない服” を生み出す。それがUnlikelyの特徴だと思っているとしたら大きな間違い。実はその真価は、デザイナーである中田慎介氏が考え抜いた "重ね着のおもしろさ" にあります。そこで今回はFIGUREで展開のあるアイテムを軸に、中田慎介氏自らのスタイリングで着こなし術をご紹介。アイテムひとつひとつに隠された、重ね着のための秘密を教えてもらいました。 Photographer:Reiko Touyama(LESEN)
Stylist : Shinsuke Nakada(Unlikely)
Hair & Make-up: AMANO
Model:Martial Gomis
Editor : Jun Namekata(The VOICE)
Production:MANUSKRIPT

Unlikely

ビームスのクリエイティブディレクターとして活躍した中田慎介氏が2023年に立ち上げたブランド。ブランド名であるUNLIKELYは『ありそうにない、~しそうにない』の意。各年代のアメリカンユニフォームをベースに天邪鬼な解釈を加えることで新しいスタイルを提案。

LOOK1

オープンカラーシャツと
ロングスリーブTシャツ
全身ネイビーのコーディネートを中田慎介氏がモデルに着付けて袖をまくりあげているところ

「アメリカの格好いい男の夏の服っていうイメージで、僕は半袖のオープンカラーシャツが大好きなんですが、日本人が上手に着こなすのはちょっとだけ難しい。そこをなんとか重ね着でうまく楽しめないかなと思ってたどり着いたのが、中に同色異素材のロンTを重ねることです。Tシャツの袖を捲って着こなすことで、長袖シャツとは違った立体的な表情が生まれるのがまたいい」
シャツとパンツはスーツにも使用される上質なトロピカルウール。アメリカのジャズメンをイメージしつつ、中田さん流に都会的に洗練させたスタイル。

LOOK2

定番のジーンズを
ポップに、都会的に
大人リラックスカジュアルコーデを作るために、中田慎介氏がモデルのスニーカーを整えているところ

「このジーンズはその名も『タイムトラベルジーンズ』。40年代〜70年代の僕の好きなディテールを全部入れたデザインで、まったりとした色落ちが特徴です。大人のリラックスカジュアルみたいな感じでまとめたかったのでオープンカラーシャツを合わせましたが、それだとちょっと土臭さが残りすぎるのでジャケットをレイヤード。大人っぽさをプラスしました」
インナーがただのシャツやカットソーではこうならないし、アウターがカジュアルアウターでも辿りつかない。シンプルだけど選びの妙が効いた着こなしです。

LOOK3

カテゴリーミックスで
さりげない違和感を
中田慎介氏がアンライクリーを使った全身ネイビーのコーディネートのアノラック部分をモデルに着付けているところ
アンライクリーを使った全身ネイビーコーディネートのモデルを中田慎介氏が眺めているところ

「カテゴリーにとらわれず各々を組み合わせて自分のスタイルを作るっていうのが、僕がしたいこと。これはアウトドアなアノラックジャケットにスポーティなスイムショーツという組み合わせがポイント。しかもショーツは上質なウール素材。カテゴリー、デザイン、素材をツイストさせつつ、深いネイビーで繋いだスタイリングですね」
しかもこのアノラックは裾にドローコードがついていて、ブラウジングを楽しむことができることに加え、最大の特徴として裾を内側に折り曲げてドットボタンで固定するとショート丈にアレンジが可能。全く違った表情を楽しむことができます。

LOOK4

素材の違いで陰影を作る
アンライクリーを使った全身ベージュのコーディネートのアノラックジャケットのフードを取り外して、パーカーのフードを際立たせるように中田慎介氏がモデルに着付けているところ

「LOOK3とほぼ同じコーディネートですが、こちらはインナーにパーカを採用。パーカのフードを際立たせるためにアノラックジャケットのフードは取り外しました。ベージュのワントーンスタイルですが、アイテムそれぞれの素材に変化をつけることで着こなし全体にグラデーションが生まれるよう組み立てています。やっぱり素材のコントラストって面白いですよね」
パーカはTシャツと同じ素材を用いつつ、限界まで度詰めすることでチノパンのような素材感にしているのが特徴。アノラックはリサイクルポリエステルでショーツはウール素材。

LOOK5

ほんのり意識したい
おぼっちゃま感
アンライクリーのウェスタンシャツにジーンズのコーディネートを中田慎介氏がモデルにウェスタンシャツを今っぽく着付けているところ

「ウエスタンシャツにジーンズのいわばダッドスタイル。その良さを活かしながらいかに可愛く、そしてクリーンに見せるか。僕なりの答えが陰影の少ないフェードブルーの組み合わせです。ヒゲや縦落ちといったデニム特有の表情を排除していなたくすることで、逆にポップになったかなと。最近ウエスタンシャツがあまりフォーカスされていませんが、これなら今っぽく着られるんじゃないかな」
ハードなイメージの服をどう可愛く着こなすか、というのは中田さんが常に掲げるテーマの一つ。まさに、ありそうでない着地のデニムスタイルです。

『僕と同じ天邪鬼な人のための服』

中田慎介氏が撮影衣装の前で座っているところ

「やっぱり色や素材のグラデーションというのは自分の中でかなり大事なポイント。そうして組み立てたコーディネートは見てても美しいし、着てても楽しい。Unlikelyの服を通じてそれが伝われば嬉しいなと思います。」

中田慎介氏がアンライクリーのネイビーのジャケットを手に持っているところ

「実は、アウトドアやミリタリーウエアのレイヤリングシステムと同じように、重ねるアイテムの順番に応じてサイズ感を調整しているのも密かなこだわり。つまりインナーはジャスト、シャツは少しゆとり、アウターは大きめといったように、重ね着した時に違和感のないように調整しているんです。」

中田慎介氏がハンガーにかけられたアンライクリーのベージュのアノラックジャケットを手に持っている様子

「僕は僕なりの方程式でコレクションを組み立ていますが、エンドユーザーの方なりの発見も色々あるようで、僕じゃ思いつかないような重ね方をして楽しんでくださる方もいる。それがすごく楽しいですよね。」

中田慎介氏がアンライクリーの商材がかかったハンガーラックを持っている様子

「人と同じ方向は向いていたいけれど、人と同じじゃ嫌だ。僕自身がそうなんですが、そういう天邪鬼な人って多いと思うんです。一見ベーシックだったりトレンディだったりする着こなしでも、なんだか人と違う。そしてそれがおしゃれに見える。そういう仕掛けのあるものづくりに僕は憧れている。」

中田慎介氏がアンライクリーの商材がかかったハンガーラックの前で座ってにこやかに笑っている様子

「コレクションを重ねて、アイテムが積み重なっていくほどに、着こなしの楽しみはどんどん広がる。Unlikelyもそんな存在であれたらと思っています。」


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2024.03.22 Fri