Be there
and be gentle

ERA.が大切にしている
距離感と気持ちよさと

「ともに、時を行く」をコンセプトに掲げる<ERA.(イーラ)>は、言葉でいろいろと表現するよりも、直感的な気持ちよさや心地よさを大切にするブランドです。使う人との関係を大事にしながらファッションに溶け込み、添い遂げるようなレザーグッズやバッグはどういった想いで生まれているのか、デザイナーの今城克典さんに貴重なお話を伺いました。 Photograph_Local Artist
Model:Raheem
Edit & Text : MANUSKRIPT

好きな服の延長線上に
バッグや小物があるために

「もともとは、大きなバッグの卸会社で長く働いていました。ものづくりだけでなく、営業的な視点でもいろいろと学び、ブランド自体を任せてもらったりもしていましたが、ゆくゆくは自分で始めたいと漠然と思っていたんです。そうして、ある程度年齢も重ねた時に独立をしました。ブランドを立ち上げ、自分らしい小さな規模感で、やりたいことをやる。そんな目標でスタートしたのがERA.でした。」

「小物やバッグに関しての専門的な知識はある程度ありましたが、もともとファッションが好きだったので、服の延長線上で考えています。昔みた好きな「あれ」といま好きな「これ」を組み合わせたり、素敵だなと思う友人が持っていたら、と想像を膨らませたり。デザインというより、編集的な感覚やインスピレーションを優先しています。僕は愛媛の出身ですが、当時は地元に大きなセレクトショップなどなく、その街の小さな服屋で買い物を楽しんでいました。そういった環境で育ってきたので、ブランドを始めたら、自分が買い物するような個店で扱ってもらいたい気持ちがずっとありました。オーナーとあと一人くらいの規模感で、好きなものだけを取り扱っている感じです。前職の取引先も含め、ご縁を大切にしてきました。」

「3年なり、5年なりのスパンでERA.を使ってくれた人が、いい時間だったな、と思ってもらいたい。そういう意味を込めて「年代」を意味する「ERA.」にしました。長く使うほどに味わいが増すような革製品って多いですよね。それは素晴らしい価値観だと思うし、プロダクトとして優れているのは理解しています。でも、革小物やバッグを作っていて、常々「一生もの」ってないと僕は思ってるんです。もちろん<エルメス>とかなら話は別かもしれません。しかし服が好きで、ファッションが好きな自分は、結局あれもこれも好きで、買い替えている楽しみをずっと続けている。お財布やバッグも同じなんです。物の存在が主張することなく、一歩下がって添い遂げる。もつことでちょっと気持ちが高揚するブランドでありたいと思っています。」

専門知識よりも直感で
いいと思える美しさを

「革の知識や縫製や処理といった技術的なことは正直いうとそこまで気にしていなくて、みんながわかること、つまり触れていて気持ちがいいとか、色がきれいとか、そういう感覚を大切にしています。革もナイロンもキャンバスも、それこそ最近なら合皮とかもフラットに考えて、どれが上とか下とか位置付けたくもありません。気持ちよさって人それぞれで、柔らかいものにそう感じる人もいれば、整った質感がいいと思う人もいる。でもその美しさや感覚って、誰でももっているものじゃないですか。そこで選ばれたいと思っています。」

「正直言うと、できる限り荷物は少ない方がいいと思っているから、無理してカバンを持ちたいわけではないです。だから奥に引っ込んでいて、目立たないほうがいいけれど、それがなんかいいと思えるようなバッグ。存在が足し算にならないバッグがいいです。柔らかさがあって、ちょっと曲線というか、丸みをどこかに感じさせるもの。財布に関しては、入れるものって限られますよね。だからデザインの余地があまりない。それは形が決まっているファイブポケットのジーンズのようなもの。その中で考える。装飾品ではあるものの、飾りたくはないんです」

「ブランドを立ち上げた時に、フランスのタンナーであるデュプイ社のバブルカーフに出会いました。いろいろな素材を見てきて、圧倒的に気持ちがよかった。これなら、みんなに伝わるなって。でも、昨年からそれが生産できなくなってしまった。そこでバブルカーフのタッチ感を目指して、EOシュリンクというレザーを原皮もなめしも国産で作りました。バブルカーフの下地は子牛で、EOシュリンクはステア(成牛)なので、皮の繊維のきめ細かさはもちろん違いますが、細かいことは考えず、すごく気に入っています」

理想をかなえたキャップに
想像しなかったレザーを

「FIGUREの別注キャップは、このEOシュリンクで作ったものです。僕はレザーキャップを被ったことがなかったので自分からは出ないアイデアでしたが、思っていたよりリアリティがありました。帽子自体は専門のファクトリーで作ったERA.のオリジナルで、キャップの深さやツバの長さなど、自分の理想をかたちにしています」

「こういった取り組みもまた、個店との付き合いの楽しさだと思います。自分が好きな小さなお店なら、ものつくりに対する僕の感情をそれ以上にして伝えてくれる。でも、大きいお店だと、お客さんに伝わるまでにいろんな人を介すから、その想いを伝えきれなかったり、解釈が変わることもある。ERA.って、やっぱり普通だし、記号性もないから、目に見える素敵な人を通すことで、もっとよくなったらいいと思います」

「これ以上、<ERA.>の規模を大きくしたい気持ちはないのですが、ファッションの世界って、ほんとに一生懸命頑張り続けてようやく現状維持だと思っています。常にいろんなことが移り変わるから、新陳代謝することも必要。だからこそ、自分ではない誰かを通してイメージを伝えること、作りあげていくことを大事にしていきたいし、それが合っているブランドだと思います。そして僕自身、そういう楽しさを知っている最後の世代かもしれません」


InformationERA.のPOPUPが
3月30日よりFIGURE 静岡で
スタート!

2024年3月30日(土) から4月7日(日)の9日間限定で、FIGURE SHIZUOKA店頭に「ERA. (イーラ)」のPOP UP STOREがオープンいたします。今回のポップアップでは2024SSシーズンのメインコレクションを幅広くラインナップする他、FIGURE別注アイテム<Exclusive EO SHRINK 6 Panel Cap>を数量限定で販売いたします。さらに、初日の3月30日(土)にはERA.ディレクターの 今城氏 が在廊。「ERA. 」の世界観を存分にお楽しみいただけるスペシャルな、9日間。皆様お誘いあわせの上、ぜひご来店くださいませ。


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