

田口悟のヒストリーから探る
チャレンジャーの実態
[後編]
デビューから瞬く間に人気ブランドへと成長し、勢いそのままに昨年10周年を迎えた〈チャレンジャー〉。ストリートシーンで確固たる個性と存在感を放ち、既に FIGURE でも多くのファンを獲得しています。その魅力を再確認し、もっと深く知るため、元プロスケーターでありデザイナーの田口 悟さんのアトリエを訪ねました。今回は後編、クリエイティブを生み出す田口さんの愛用ツールや、今季のおすすめを紹介します。Photo_Shunsuke Shiga
Interview & Text_Naoyuki Ikura
〈チャレンジャー〉のコレクションを語るうえで、重要な要素であるグラフィック。プロダクトやビジュアルに用いられるアートワークの数々は、基本的に田口さん自身が手掛けています。インスピレーションソースについて本人は「あまり意識はしていないものの、これまで自分が触れてきたカルチャーが軸になっているのは確か」と話します。前編で語られたとおり、スケートボード&モーターサイクルは言うに及ばず、小学生の頃にスケートデッキのグラフィックに魅せられ、当時から絵を描くことが好きで仕方ない。さらにはラジコンやプラモデルなど、誰もが夢中になった懐かしい遊びを、今も現役で楽しんでいる。年齢を重ね、様々な経験を積んでも、少年時代と変わらない好奇心や冒険心こそが原動力であり、クリエーションの源泉なのかもしれません。


インターネットや書物などからベースとなる画像を拾い、トレース、コラージュ、サンプリングといった手法によってアレンジするのが一般的となっている昨今。しかし「それはデザイン表現とは少し違うと考えていて、僕のスタイルではありません。ですから、グラフィックもフォントも自分で手描きです。商品へ落とし込むため最終的にはデータ化しますが、昔ながらのアナログな方法を続けています」

「やはり絵を描くことが大好きですし、純粋に楽しい」と、商品用のグラフィックとは別に、ポスターなどのアート製作もライフワークとなっている。なかでも近年、精力的に取り組んでいるのが蛍光塗料を使った作品。そのひとつであるこちらは、通常の照明の下では昼間の描写ながら、ブラックライトで照らすと空に星が光り、街に明かりが灯って夜の景色に。


バンダナはブランドの名物アイテム。「〈チャレンジャー〉をスタートして最初にデザインしたのがバンダナでした。以降シーズンごとの新作に加えてスポットでもリリースするなど、設立からの10年間で100種類を超えています」。2016年からは、バンダナの原画の巡回展『バンダナライズツアー』を企画し、日本をはじめマレーシア、香港、LA、サンフランシスコ、シアトル、にユーヨークにて開催。現在も国内外からオファーが絶えないという。

カメラも長年の趣味であり“ オモチャ ” のひとつ。グラフィックの作風と同じくアナログを好む性分もあってか、最近は特にフィルムカメラにハマっている。愛機はヴィンテージのライカ。「現像も自分でしたいと思うようになり、仕事場に暗室まで作ってしまいました(笑)」

少年時代に夢中で遊んだラジコンやプラモデルも、大人になってブームが再燃。こちらは、1980年代に青春を過ごした世代には懐かしい往年の名車・ホーネット。「子供の頃も格好いいと思っていたけど、大人になって見てもやっぱり格好いい。カスタムバイクなどを手掛けるプロのペインター〈ラブ・イヤー・アート〉の桂川 弦さんにお願いして、ファイヤーパターンに塗装していただきました」
2020年の春夏コレクションでも魅惑的なアイテムが充実している〈チャレンジャー〉。FIGURE では、これまでに以上に豊富なセレクションを取り揃えており、現在は続々と新作が入荷中。なかでもオススメの逸品を厳選してご紹介します。

