SIMPLISM FOR
BETTER FUNCTIONALY
モノリスが考える
究極の黒いリュック
「次世代のスタンダードとなる最高のバッグ&ラゲージの提供」をコンセプトにスタートしたモノリスは、ランドセルのトップメーカー、セイバン社が築いてきた歴史や技術、背景が生かされています。そのディレクションを手がけるムロフィス代表 中室太輔さんに、ブランドの設立背景やこだわり、そしてご自身がプロダクトに注いでいるバッグへの想いを語っていただきました。Photo:Yuichi Sugita / Production:MANUSKRIPT
中室太輔さん(以下中室):2018年くらいですかね。セイバン社が100周年を迎えるにあたり、次の100年に向けて考える動きがありました。ずっとランドセル業界のトップを走り続ける会社であっても、国が抱える深刻な少子化問題の影響を受けています。ある時、社長さんから相談を受け、その対策というか、未来に向ける一手を考えることになりました。
中室:新しいバッグを考えたとき、ランドセル一本でやってきたメーカーが「背負う」概念から離れてはいけないんじゃないか。そう思ってバッグパックを中心に据えた、大人のバッグブランドを提案したんです。ハーネスの作り方、重心を分散させるといった技術やノウハウは、きっと他の分野でも生かすことができるはずだし、そのストーリーをPRの視点からも使いたかったんです。
中室:僕が背負いたかったバッグをピュアに追求した結果でもあります。ずっと愛用している好きなデザインのリュックがあったのですが、それに足りない機能を加えていった先に完成されたものって、世の中に見たことないなって。とにかくシンプルで、機能的で、何年も使い続けるための信頼もあって。ランドセルに6年保証があるように、アフターケアのシステムも設ければ、きっといいブランドになると思ったんです。
中室:バッグといっても大きいものから小さいものまで幅広く、形もいろいろ。そして「ファッション小物」なのか「道具としてのバッグ」なのかに明確な境界線があって、ニーズも分かれると思うんです。僕は<モノリス>では後者の「道具」としてのバッグを作りたかった。それは単に便利で頑丈で使いやすいだけでなく、自分のパフォーマンスが上がるバッグであり、仕事や趣味へのモチベーションアップに繋がるバッグであること。モノリスを購入いただいたことで、カメラを趣味で始めてみよう、とか、旅行に行ってみたい、とか。ローンチが2020年でコロナ禍だったこともあり、さらにその想いは強くなりました。
中室:ファーストサンプルを持って多くの知り合いのバイヤーにも見ていただきましたが、やっぱり誰も知らないブランドのロゴもないバッグがポンと出て売れるものではないです。色々な指摘もいただきました。でもコンセプトやストーリーに共感してくれたメディアに紹介いただいたり、口コミの影響もあり、シーズンを重ねていくにつれ、少しずつ「ロゴがない」ブランディングがアイコンになり、街でも着用者を見かけるようになりました。僕もPR畑の人間ですから、SNS、純広告、ヴィジュアルすべて統一された世界観でイメージ戦略を立て、シンプルさとおしゃれさがイコールになるように近づける作業をしています。先日は丸の内に続いて大阪で直営店がオープンしました。<モノリス>がどこで、どういうお店で売られているか。そういう要素も一つ一つ積み重ねています。
中室:<モノリス>がファッションアイテムだったら、instagramなどのSNSで短期間で話題が広まる戦略でいいかもしれません。でも僕たちは工業製品を作っている感覚。だからブランドのイメージなど、作り手側の純度を高める必要性がある。つまり周りに流されてはいけない。それは、多くの人に自分たちの声が届けることには繋がらない。でも工業製品はユーザーがユーザーを呼んでくれるから、ランドセルのように長い目で見た時にいいブランドを目指すことをセイバンさんにも理解していただいています。妥協せず、じっくりと。それでも初期の計画より、売上も順調に推移しています。
中室:自社工場ではランドセルのみを生産しているので、中国の工場に依頼しています。<モノリス>のバッグは基本的に頑丈なバリスティックナイロンを使用し、そこに裏地を貼り付けているのが大きなこだわり。これを縫えるリソースや設備や技術を国内では見つけることはできませんでした。ほとんどのバッグって耐久性を確保するために生地の裏地にコーティングをするのですが、このウレタン素材がまず劣化してくるんです。<モノリス>は見た目のシンプルさをキープしたいから、機能を外側より内側につけています。だからユーザーもバッグの内部をよく触ることになるから、裏地が弱いのは致命的ですよね。
中室:ここまで裏をちゃんと作るバッグって世の中にないんじゃないですかね。少なくとも僕は見たことがない。もちろん加工は構造上必要ですが、ポリウレタンを使うのが一般的であるのに対し、<モノリス>はポリカーボネイトでコーティングしています。これにより格段に防水性も高まるし、加水分解も起きにくくなっています。これはリリース以後、細かくアップデートを何度んも繰り返しています。セイバンでなければできない技術よりも、細部へのこだわりと修正頻度など、そういう姿勢がバッグの信憑性に繋がっていると思います。
中室:ランドセルの「天使のはね」をご存知だと思うんですが、あの「はね」ってハーネスの内側に内蔵された、肩ベルトの立ち上がりを作る樹脂のパーツを指すんです。この部分が立ち上がると、背中とランドセルに空間が生まれないから、重さが分散されないため、実際の重量より軽く感じることができる。このバッグについているロードリフトストラップが「はね」と同じ役割を果たしているんですよね。一部のアウトドアブランドのリュックにも搭載されている機能です。
中室:そこまで機能を必要としない人はSTANDARDだし、もうちょっと自身のパフォーマンスを高めたい人にはPROをおすすめしています。PROとまでいかないけど、仕事で合理的に使いこなしたいって人はOFFICEです。これに松・竹・梅があるわけではなく、ユーザーによって求めるスペックは変わるので、ライフスタイルに応じて選んで欲しい。AppleのiPhoneやMacBookの考え方と同じですね。STANDARDのバリスティックナイロンが630デニールに対して、PROは840×1680デニール。より耐久性に優れています。どちらも軽量化を図るため中空糸を使っています。あとはハンドルの設計。PROは重いものを収納することを想定してハーネスの強度を高めているし、チェストストラップなども搭載しています。ガシガシ使いたい人はPROがおすすめ。パソコンの出し入れの頻度を考慮した設計になっています。僕はSTANDARDのリュックを一番愛用しているんですが、オーバースペックではなく、必要最低限の機能がちゃんと備わっている感覚。しかも世間一般のリュックより全然ポケットの数も多く、使い勝手もいい。またオフィス用のトートもかなりこだわりました。いわゆる一般的な、横長の舟形トートをベースにしていますが、ビジネスで使うなら縦型だろうと。コンパートメントの両サイドにウレタンフォームを入れて、パソコンとタブレットの両方が安心して収納できます。
中室:機能です。ロゴすら外側に付けなかった<モノリス>のシンプルな見た目は、使い勝手や汎用性を追求した結果。カラーが黒のみであることも、ユーザーのワードローブを操作せず、どんなシーンにも合わせてもらいたい意味が込められています。そうした自分の一部になれるバッグを背負うモチベーションを高めて欲しいですね。
中室太輔
TAISUKE NAKAMURO 1981年東京都生まれ。セレクトショップのプレスを経て独立。2008年に設立したPR・ブランディングオフィス「muroffice」の代表兼ディレクターを務める。そのほか、人にフォーカスしたECモールサイト〈IAC / Internatinal Association of Creators〉のブランディングディレクター、バッグブランド〈MONOLITH〉のディレクター、アイウェアブランド〈Eyevol〉のディレクターも務める。
InformationモノリスのPOP UPが
8月26日よりFIGURE 静岡で
スタート!
2023年8月26日(土) から9月3日(日)の期間中、FIGURE SHIZUOKA店頭に「MONOLITH(モノリス)」のPOP UP STOREがオープンいたします。 今回のポップアップでは、BACKPACK/2WAY/TOTE/SHOULDER、L/M/Sなど、使用シーンによって最適なカタチとサイズをバリエーション豊富に取り揃えております。デイリーユースはもちろん、旅行やお仕事とも併用して使える数々の”ニュースタンダード”を是非お手にとってご覧ください。